時間は錆びついてしまった。焼け焦がれ、ひび割れた大地よりも錆びついている。伸び放題の灌木よりも生命を欠き、猛暑の中を、当てもなく緩慢に這い進む蛇のような、砂に埋もれてあちこちで途絶えている砂漠の一本道よりも生気が感じられないほどに。
もうどれくらいここにいるんだろう。まるであの蛇みたい。行く先がまったく見えない。どこに向かったらいいのかもわからない。ただ、自分が求めているものはわかる。ただ見上げさえすれば。空は果てしなく青い。限りなく深い。青一色。視界はブルー。どうでもいい、青以外の何かを見せて。
小屋はきっと湖のほとりに建っていたに違いない。小屋にはベランダがあって、一歩でも踏み出せば容赦なく襲ってくる猛烈な暑さ。焦げるような熱気。乾燥し切った空気にすべてが霞み、揺れ動く。干上がった湖にかかる蜃気楼。豊かに水をたたえているのに喉の渇きはいやせない幻の水。
壁に掛かった時計も壊れている。ここでは、時間が錆びついているだけじゃない。針は刻むのをとうに止め、意地でも動かない。駄々をかねた幼児のように、時はその場に座り込んでしまった。仕様が無い。ただ待つしかない。
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Dil Japonca ● Biçim EPUB ● ISBN 9781071582770 ● Çevirmen Toru Suzuki ● Yayımcı Babelcube Inc. ● Yayınlanan 2021 ● İndirilebilir 3 kez ● Döviz EUR ● Kimlik 8801591 ● Kopya koruma Adobe DRM
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